
おしらせ&コラム
2025.4.14
製造業における原価計算の重要性とは?計算方法・活用法も詳しく解説!
製造業において、利益を生み出すにはコストに利益分を追加して販売する必要があるため、コストがいくらかかったかがポイントとなります。
この時に、コストの計算方法として出てくるのが原価計算です。
本記事では、以下の内容をまとめました。
・製造業における原価計算とは何か
・製造業における原価計算の方法
・製造業における原価計算の活用と管理
ぜひ最後までご覧ください。

製造業における原価計算とは何か
製造業における原価計算は、企業のコスト管理、利益の確保といった部分において重要な役割を果たします。
原価は製品を生産するためにかかる費用を指し、原価を正確に把握することで、正しい価格設定・経営判断につなげられるのです。
そして、市場での競争が活性化する中にあって、コストを適正に管理し、無駄を省くことが何より重要です。
本項目では、製造業における原価計算とは何かについて、目的・重要性などをまとめています。
原価計算の目的と重要性
そもそも原価計算を行う目的として、大きく分けて3つの目的が存在しており、「コスト管理」、「価格設定」、「経営判断」に分けられます。
コスト管理に関しては、企業が製造にかかるコストを把握することにより、無駄を省き、効率的な生産体制につなげられるでしょう。
価格設定においては、利益を生み出すために、製造コストに見合った販売価格を定める必要があり、原価を正確に算出することが求められます。
価格設定が不明瞭だと、値引きをしなければならないタイミングにおいて、過度な値引きや頑なに値段を変えない態度を取り、結果として状況を悪くさせるケースが出てきます。
経営判断の点では、利益率の状況や利益をもっと生み出すための設備投資の有無などの判断を下す際に、原価計算が欠かせません。
製造業における原価の種類
製造業における原価は材料費、労務費、経費で構成されています。
材料費は、文字通り製品の製造に欠かせない材料の費用を示しており、原材料費や部品の費用、燃料費などが該当します。
労務費は従業員に支払う給料を始め、ボーナスなど人件費全体を示すものです。
経費は光熱費や減価償却費などが該当します。
1つ1つのコストがどこに分類されるのかを見極めていくことで、原価計算がよりしやすくなり、コストに対する意識が高まるでしょう。
直接費と間接費
原価の分け方として「直接費」・「間接費」で分けることもできます。
直接費は製造に直接関係するコストを示し、例えば、製造を担う従業員の賃金や製品に用いる材料費などが該当します。
間接費はそれ以外のコストですが、人件費の中でも製造にかかわっていない従業員の賃金に関しては間接費となります。
原価計算はとても細かな区分けも存在しますが、それらを徹底して管理することで、正確なコスト管理につなげられるでしょう。
製造業における原価計算の方法
原価計算にはさまざまな手法が存在します。
それぞれの計算方法の中でも細分化できるため、製造業において用いることのできる計算方法はすべて把握することが求められます。
本項目では、製造業における原価計算の方法についてまとめました。
全部原価計算と部分原価計算
原価計算は大きく分けて2つに分けられ、1つが「全部原価計算」、もう1つが「部分原価計算」です。
全部原価計算は製造やサービスなどすべてのコストを計算したものであり、部分原価計算は生産量に応じて変化する費用だけを計算したものです。
部分原価計算では原材料費や人件費などが対象となり、直接原価計算とも呼ばれます。
標準原価計算と実際原価計算
全部原価計算に関してはさらに細分化でき、「標準原価計算」と「実際原価計算」に分けられます。
標準原価計算は、標準的な材料の使用量や使用時間などに応じて算出する手法で、実際の使用量などを用いず、あくまでも標準的な数値を活用します。
実際原価計算では、実際の使用量などを活用する手法で、精度的には実際原価計算の方が上です。
標準原価計算を用いるのは、実際原価計算との数値に大きな差があった場合、何らかの改善をしなければならないことが明らかなので、それを端的に示す狙いがあります。
個別原価計算・総合原価計算
さらに実際原価計算は「個別原価計算」と「総合原価計算」の2種類に分けられます。
個別原価計算は、注文単位あるいは製品単位で原価計算を行う方法です。
1つの製品を作り、顧客に納品するまでにいくらの原価がかかったかを計算します。
総合原価計算は、たくさんの製品を作る際に原価を総合的に計算する方法です。
最初に全体の原価を計算し、その後、生産した数に応じて割り算を行い、最終的に1つの製品あたりの原価を出します。
1つ1つの製品を受注生産する場合には個別原価計算、製品を大量生産する場合には総合原価計算と、状況に応じて適したものを選ぶことになります
製造業における原価計算の活用と管理
原価計算を行うことは、単にコスト管理を行うだけでなく、企業の利益向上や経営戦略の立案にも重要な意味を持ちます。
適切な原価管理を行うことは、コストの見直しや効率性・合理性を追求した生産体制の構築にもつながるのです。
本項目では、製造業における原価計算の活用と管理についてまとめました。
コスト削減のための原価分析
製造業において、利益を高めるにはコスト削減が欠かせません。
このコスト削減を実現するために、原価分析が必要です。
原価分析は、さまざまな工程・部品ごとにコストを計算し、妥当なコストかどうかを見極めていく考え方です。
実際に原価計算を行うプロセスとして、最初に費目別、部分別、製品別と3段階経ていく必要があります。
材料費や労務費などが費目別、直接費なのか間接費なのかが部分別、そして、製品にかかった費用を示す製品別と進めていきます。
段階的に原価分析を行うことで、どの部分でコストの削減が行えるかが見えやすくなるのです。
原価管理と利益率の向上
原価管理を行うことは、企業の利益率を向上させるためになくてはならない手段です。
製品を完成させるコストを下げ、価格を維持すれば、コストを下げた分だけ、利益につながります。
原価管理を徹底することで不要なコストを削減し、利益率の改善につなげられます。
そのために標準原価と実際原価の計算をそれぞれ行い、ギャップを確かめるのです。
ギャップがあるとわかれば、より効率性を高められると判断でき、対策に乗り出せます。
原価管理の意識を高め、より正確なものにできれば、利益率アップにつなげやすくなるでしょう。
原価計算と価格設定の関係
しっかりと利益を出していくには適正な価格設定が重要です。
そのためにも、正確な原価計算が求められます。
製品の価格は、市場やユーザーのニーズに左右されやすく、仕方なく割引せざるを得ない状況も出てきます。
取り扱う製品、業種によっては薄利多売が成立するケースもあれば、1つ1つの製品でしっかりと利益分を上乗せしないと厳しいケースもあるでしょう。
どのような価格で勝負していくかを検討していく中で、原価計算は欠かせません。
そして、常に適正なコストなのかを検討し続けることで、さらなる利益向上につなげられます。
まとめ
製造業においては、原価計算の正確性が利益に直結すると言っても過言ではありません。
また、原価計算は財務諸表の作成や経営判断においても必要です。
原価計算を行うことは、企業経営の基礎を担うものと言えます。
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