2025.3.3

製造業における利益率の目安とは？現状や主要な指標・戦略を解説！

製造業において、事業の発展性などをチェックするのに大事な指標となるのが利益率です。

製造業における利益率の目安はどれくらいなのか、気になる方も多いはずです。

本記事では、以下の内容をまとめました。

・製造業の利益率の現状と目安
・製造業の利益率の目安を知る上で知っておきたい計算方法と重要指標
・製造業の利益率を向上させる戦略とは

ぜひ最後までご覧ください。

製造業の利益率の現状と目安

製造業における利益率は、経営の健全性や他社との競争力を見ていく上で大事な指標となり得ます。

本項目では、製造業における利益率の現状や目安などをまとめました。

製造業における利益率の現状

製造業の利益率は、2022年時点で4.9％となっており、全体の利益率4.0％と比べて高いことがわかります。参照：経済産業省「2023 年経済産業省企業活動基本調査速報（2022 年度実績）調査結果の概要 」

営業利益率は5％までが一般的とされ、5～15％あたりが優良とされます。

そのため、4.9％という数値は一般的な数値と言える他、小売業などと比べると利益率は高めです。

とはいえ、4.9％という数値は前年度と比較して0.8ポイント下がっており、決して順調とは言えません。

背景には営業費用の増加があり、製造業の営業費用は2021年度から2022年度にかけて10％以上増えています。参照：経済産業省「2023 年経済産業省企業活動基本調査速報（2022 年度実績）調査結果の概要 」

利益率は景気やグローバル市場の影響を受けやすく、近年の原材料費やエネルギーコストの高騰などが利益率の押し下げにつながりやすい状況です。

製造業における業種別・規模別の利益率

製造業の利益率は業種によって大きく異なります。

例えば、付加価値のついた製品を製造できる業種であれば、10％以上の利益率になりやすく、特に医薬品業界が顕著で、30％を上回る利益率を残す企業も存在します。

しかし、金属加工や繊維といった素材産業においては利益率が低いのが実情です。

企業規模でも利益率に差が生じやすく、21～50名の従業員を抱える製造業の企業の場合、4％ほどが利益率となっています。

しかし、20名以下の企業は2％を割る利益率しかありません。参照：船井総研「売上高に対する営業利益率の目安とは？｜営業利益率を高める3つのポイント」

中小企業の場合、コストアップの影響を受けやすく、新しい商品の開発まで手が回らない状況にあり、規模が小さいところほど利益を出しにくい状況にあります。

目指すべき利益率の水準

企業が目指すべき利益率の水準として、10％を目指すのが理想とされています。

高い利益率をマークするには、いかに利益を生み出せるかがポイントです。

利益の生み出し方は企業によってさまざまであり、扱う製品によっては戦略を変える必要があります。

製造業において利益率10％は決して難しい数値ではなく、施策次第で十分に狙える数値と言えるのです。

製造業の利益率の目安を知る上で知っておきたい計算方法と重要指標

利益率の目標を立てて、その数値をクリアするためには、まず利益率がどれくらいなのかを正しく計算し、経営の現状を把握することが欠かせません。

本項目では、利益率に関するさまざまな指標や計算方式をまとめました。

一般的に用いられやすい利益率に関する指標

利益率といっても、その種類は実に豊富です。

例えば、営業利益率は営業利益を売上高で割ったものを示し、粗利益率は売上高から売上原価を差し引き、差し引かれた額を売上高で割った際に出た数値を指します。

営業利益率からわかるのは収益力の高さ、粗利益率からはその企業が持つ競争力の有無がわかります。

他にも売上高経常利益率からは財務活動などもひっくるめた利益力がわかり、売上高当期純利益率は最終的な利益率がわかる仕組みです。

利益率を高めるといっても、どの部分の利益率を高めるのかでやるべきことが大きく変わります。

資本効率を測る指標

利益率を高めていく際に、欠かすことのできない指標としてROAやROEがあります。

ROAは総資産利益率、ROEは自己資本利益率を示し、ROAは資産全体から見た収益力、ROEは自己資本をどれだけ効率よく活用できているかがわかるのです。

製造業の場合、生産力を高めるために設備投資を行うケースが目立ちます。

資本効率が良ければ、ROAなどの数値もそれだけよくなります。

収益力を高めていくには資本効率の向上は必要であり、資本効率の確認をする上で大事な指標となり得るでしょう。

製造業の利益率を向上させる戦略とは

利益率を向上させることは製造業において長く成長を続ける中で避けては通れないものです。

競争力がなければ淘汰されてしまう製造業において、利益率を向上させる戦略が必要不可欠となります。

本項目では、製造業の利益率を向上させる3つの戦略をまとめました。

コスト削減と効率化

利益率を高めるのに欠かせないのはコスト削減です。

利益率を押し下げる要因として、原材料費の高騰などコストの増大が考えられます。

他にも製造業では労働コスト・エネルギーコストといったものもあり、削減しつつ生産性を維持できるかがポイントとなります。

コスト削減と生産性の維持を両立させるためにも、生産効率性の向上は必要です。

現状の設備投資や生産工程を大きく見直していき、効率化を図ることが重要です。

具体的な施策として、スマートファクトリー化を目指すことが挙げられます。

スマートファクトリーの導入により、ムダを省くことができるだけでなく、生産の稼働率を高められます。

何より重要なのはコスト削減と生産効率性・品質の維持を両立させることで、単にコスト削減だけを行って、品質を落とせば評判を落とすでしょう。

AIやIoTといった先端技術を有効活用しながら、コスト削減と生産効率性・品質の維持を両立させ、利益力をつけていくことが必要です。

売上を増やす

利益率を高めていくには売上を増やすことがポイントです。

製造業の中では既に高い利益率を誇る企業もありますが、高付加価値の製品を生み出す企業が少なくありません。

付加価値のあるものを生み出し続けていくことは売上を増やすことに大きくつながります。

また、市場のニーズをキャッチし続け、ニーズに見合ったものを生み出していくことも売上アップにつながるでしょう。

既存の顧客の顧客満足度を高めていき、安定した売上につなげていく施策も欠かせません。

デジタルトランスフォーメーションの推進

利益率を大きく向上させるためには、デジタルトランスフォーメーションを推進し、AIやIoTなどの先端技術を活用していくことが求められます。

デジタルトランスフォーメーションはこれまでの生産プロセスや業務の在り方を変革するのに役立ちます。

新しい製品やプロセスの開発につなげていくことで、競争力を高めることや市場全体の価値の引き上げにも貢献するでしょう。

まとめ

中小企業の中でも利益率が高い企業も存在しており、今までの業務を見直す中で改善の余地は十分に残されています。

人手不足に悩んでいるケースであっても、AIやIoTの活用を含めた抜本的な見直しを押し進めて復活するケースもあります。

どれくらいのパーセンテージを目安に利益率を確保していくのかを前もって定めてから、業務の見直しを行っていきましょう。