2025.2.17

製造業とIoTの親和性とは？現状・事例・課題を解説！

製造業において、近年注目されているのがIoT技術の導入です。

各企業がIoT技術の導入を検討する背景には、製造業とIoTの親和性の高さが考えられます。

本記事では、以下の内容をまとめました。

・IoTと製造業の親和性について
・製造業におけるIoTの活用事例や成功事例とは？
・製造業でIoTを導入する際の課題と未来展望

ぜひ最後までご覧ください。

IoTと製造業の親和性について

製造業においてIoTは、生産効率の向上やコスト削減、品質向上を実現する重要な技術として注目されており、多くの企業が導入を目指しています。

本項目では、IoTと製造業の親和性についてまとめました。

そもそもIoTとは何か

IoTはInternet of Thingsの略称で、モノのインターネットという意味合いがあります。

要するにモノ同士がインターネットを介して接続し、情報共有を行っていくという状態と言えます。

製造業では、センサー、機器、システムがそれぞれネットワークを通じて連携することにより、生産プロセスの最適化を図れます。

例えば、生産する機械の運転状況や温度、振動データなどをチェックし、異常を見つけたらすぐに警告を発する仕組みもIoTによって成立します。

IoTの導入により、生産効率を高めるだけでなく迅速な意思決定も可能となるため、製造業とIoTの親和性はかなり高いことが言えるでしょう。

製造業におけるIoT導入のメリット

製造業がIoTを導入することで得られるメリットは少なくありません。

例えば、IoTの導入により生産データがリアルタイムでわかるようになるので、現状の把握がしやすくなります。

IoTによって集められたデータをAIに分析してもらうと、今後の計画が立てやすくなり、リソースのムダをなくすことができるでしょう。

一方、生産の停滞・ストップにもつながりかねない、システムの異常・故障に関しても未然に防ぐことも可能です。

ちょっとした異変にすぐ気が付けるだけでなく、保守・点検に関しても人間に頼らずとも行えるので効率的です。

人間の場合はヒューマンエラーが起こってしまいますが、IoTの導入でエラーを最小限に食い止められるのも導入メリットの1つです。

IoTが実現するスマートファクトリーの進化

製造業において近年注目されるものにスマートファクトリーがあります。

スマートファクトリーとは、IoT技術を活用して生産プロセスを自動化させた工場を指します。

今までは人の手で作業を行っていたのが、スマートファクトリー化に伴い、IoT・AI技術を活用した生産へと切り替えられるのです。

IoTによって全ての機器が相互的につながるため、リアルタイムでのデータ共有が可能となります。

稼働効率も最大化されるため、さまざまなリソースをより効率的に活用できるようになるのです。

製造業におけるIoTの活用事例や成功事例とは？

IoT技術の普及に伴い、製造業における生産プロセスは大きな進化を遂げています。

実際にIoTの活用を行っている企業も増えており、さまざまな事例が見られます。

本項目では、IoTの活用事例・成功事例をまとめました。

デンソーにおける活用事例

自動車部品のメーカーでは世界第2位の売り上げを残すデンソーでは、国内外の工場すべてにIoT技術を導入しています。

デンソーは130の工場があり、計15万人程度の従業員がいますが、生産現場をIoTで結び、生産性を30％高めることを目指しました。

IoT基盤は東芝が中心となって構築され、生産などの見える化が進められていきます。

それまでもカイゼンを行い続け、これ以上のムダはないとされていた中、IoT導入後わずか3か月で6％の生産性向上につながったのです。

IoTを使ってもっとカイゼンを行おうという機運も高まり、デンソーの生産性はより向上していきました。参照：東芝デジタルソリューション「IoTのパートナーに東芝を選定・導入から3カ月で生産性が大幅に向上」

都内にある中小企業の製造業における事例

IoTは中小企業でも積極的に導入されています。

東京都足立区にある秀和工業もその1つです。

秀和工業では、半導体に欠かせないウエハーを薄く磨く装置を開発しています。

今まではこの装置に不具合があると、技術者がいつでも現場に駆けつけて対応しており、技術者に相当な負担を強いていました。

そこで秀和工業ではIoTセンサーを活用し、新たな装置を開発しました。

データなどから故障箇所を把握し、現場に行かなくても初動の対応が行えるようになったのです。

緊急出動の回数も大きく減らせるなど、IoTの導入で従業員の負担がかなり軽減されたと言えます。参照：東京エレクトロンデバイス「成功事例から紐解く製造業のDX ： 後編「中小企業編」

製造業でIoTを導入する際の課題と未来展望

製造業においてIoTを導入することは多くのメリットをもたらすことは間違いありません。

しかし、導入によっていくつかの課題があることも確かです。

本項目では、製造業でIoTを導入する際の課題や未来展望をまとめました。

課題①セキュリティリスクとその対策

IoTの導入により、セキュリティの重要性がかなり増しています。

IoT機器を狙ったサイバー犯罪がここ数年で急増しており、サイバー攻撃に関連した通信は6197億件と10年で30倍近くまで増えています。参照：国立研究開発法人情報通信研究機構「NICTER観測レポート2023の公開」

その多くがIoT機器を狙ったもので、DDoS攻撃によって日本の大企業や銀行のシステムに重大な支障を与えています。

ネットワークには多くのデバイスが接続されるため、攻撃のリスクにさらされ続けていると言えるでしょう。

製造業では、機密情報や生産データの漏洩リスクがあるため、適切なセキュリティ対策が求められます。

具体的な対策として、暗号化技術や認証システム、ネットワーク監視ツールを導入することが必要です。

また、従業員1人1人のセキュリティに対する意識向上やセキュリティポリシーの策定も重要な取り組みと言えるでしょう。

課題②IoT導入に必要なスキルと人材育成

IoTを効果的に導入するためには、専門的な知識を持つ人材の確保が求められます。

IoTセンサーやネットワーク、データ分析、先ほどのセキュリティ対策など、幅広い分野のスキルが欠かせません。

一方で、これらのスキルを最大限活かせる人材はまだ限られており、育成が急務です。

企業内で育成を行っていく際には、社内教育や外部研修プログラムを活用し、IoT導入を支える専門人材を育成することが必要です。

まとめ

製造業においてIoT技術を活用することは重要であり、「中小企業だから導入は難しい」というものではありません。

むしろ中小企業が持つ独自の強みをIoT技術でさらに強化することが可能なため、積極的に導入する価値は十分にあると言えるでしょう。

IoTを導入する際に補助金を設けている自治体もあり、費用の軽減も可能です。

積極的にIoTを導入し、生産性を高めて利益を増やしていきましょう。