おしらせ&コラム
2024.11.25
製造業の採用難はなぜ起きる?実情や原因・解決策を解説
製造業は慢性的な人手不足に悩まされており、採用難の状況が続いています。
若者が製造業を選ばなくなったのは、若者側に責任があるというよりも、企業側にもその一端はあると考えるべきでしょう。
本記事では、以下の内容をまとめました。
・製造業における採用難の実情
・製造業で採用難が生じる原因
・製造業が採用難を解消する解決策
ぜひ最後までご覧ください。
製造業における採用難の実情
そもそも製造業における採用難はどのような状態なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
本項目では、製造業における採用難の実情をまとめました。
2030年には製造業で約38万人が不足する
製造業に限らず、日本の労働市場の多くで人手不足となっており、この傾向は当面続くと言われています。
2030年時点において、7,000万人を超える労働需要が見込まれる中で、労働供給は
6,400万人程度と600万人の労働力不足が指摘されています。参照:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」
製造業に目を向けると810万人の労働需要が見込まれるにもかかわらず、2030年での労働供給は771万人にとどまっているのが実情です。
約38万人の不足をいかに埋めていくかが今後のカギとなるでしょう。
製造業における女性やシニア、外国人の活用状況
人手不足を埋めていくには、女性やシニア、外国人、生産性の向上が必要であると言われています。
ここでポイントになるのが、製造業において女性やシニア、外国人がどれほど活用されているかです。
例えば女性の場合、製造業における女性就業者の割合はここ10年30%前後を保ち続けています。
しかし、全産業の平均はゆるやかに上昇し、45%に迫っている状況です。参照:経済産業省「人材確保・育成」
女性就業者は2002年から2021年にかけて90万人減らしており、これ以上減らさずにいかに増やせるかがポイントになります。
シニアもこの傾向は変わらず、全産業でゆるやかにシニア層の割合が増えているのに、製造業だけ横ばい、もしくは微減です。
こうした状況を支えるのが外国人労働者で、外国人労働者の割合は5%を突破し、今後も増えることが予想されます。
人手不足をどうやって補うかに関して各企業の判断が問われるでしょう。
製造業で採用難が生じる原因
製造業において採用難が生じる原因には以下のことが考えられます。
- 給与が低いイメージが強い
- 魅力を伝えきれていない
- 先行きの不透明感が目立つ
本項目では、それぞれの原因を解説します。
給与が低いイメージが強い
製造業=低賃金というイメージが先行しているのも要因です。
過去の調査では製造業への印象として、給与が高いという質問にそう思わないと答えた人が全体の6割近くに及びました。参照:PR TIMES「製造業への就業意向調査」
実際の製造業の賃金は他の産業と比べると突出して低いわけではなく、およそ301.5万円です。
一方、男性の賃金は他の産業と比較しても平均的なのに対し、女性の賃金は平均229.3万円で、明らかに低い結果が出ています。参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
女性からすれば、これだけの差があると、わざわざ製造業を選ぶ気にならなくても致し方ないと言えます。
魅力を伝えきれていない
製造業はものづくりに携われることから、やりがいを感じられる産業です。
しかし、若者に製造業の魅力が伝わっていない、もしくは伝えきれていない可能性が考えられます。
例えば、子どもが将来なりたい職業としてYouTuberが入るなど、ワクワクしたことをやる職業に人気が集まります。
しっかりと魅力が伝われば、有意義な仕事として製造業に対する見方も大きく変わると言えるでしょう。
今後ブランディングがどこまで行えるかがポイントとなります。
先行きの不透明感が目立つ
製造業で働く人の中には、先行きの不透明感を感じて離職を検討する人が少なくありません。
製造業をこのまま続けたくないと考える従業員のうち、およそ半数が仕事のやりがいのなさや収入の低さを理由に挙げています。参照:dip総合研究所「製造業」就業者の実態! 約6割が1年未満で退職! 理由は「雇用が安定していない」「仕事のやりがいがない」
また、仕事のやりがいと収入の低さの項目は、勤続年数を重ねる中でパーセンテージを増やしています。
先行きの不透明感が出ている中だと、採用もなかなか大変な状況と言えるでしょう。
製造業が採用難を解消する解決策
製造業が採用難を解消していくには、いくつかの解決策があります。
- 魅力を発信していく
- 女性や高齢者が活躍しやすい環境を作る
- 生産性を高めて利益を増やしていく
本項目では、採用難を解消する解決策についてまとめました。
魅力を発信していく
「若者の製造業離れ」を防ぐには、製造業の魅力を発信する必要があります。
実際にブランディングを強化した製造業の企業では、生産する様子を外部に公開する「オープンファクトリー」を始め、SNSの活用などを活発に行っています。
製造業のイメージを覆すようなブランディングを展開したことで、応募者が急増したケースもありました。参照:note「若者からの応募が殺到!ブランディングを強化した鉄工業の魅力。」
多くの人に自分たちの会社を知ってもらうという意識を持って、SNSの活用を始め、ブランディングを行っていけば興味を持つ人が増えることが考えられます。
女性や高齢者が活躍しやすい環境を作る
他の産業と比べて、就業者が少ない女性・高齢者が活躍できるような環境を作っていくのも大切です。
特に今まで工場で働いていた高齢者に関して、65歳の定年をきっかけに離職させるのではなく、改めて再雇用していくことが求められます。
一方で、再雇用をしても高齢者自身のモチベーションが高まらないことが企業側の困りごととして問題になりやすい現実もあります。参照:日経クロステック「スキルもノウハウも豊富なシニア、人材不足の今こそフル活用すべし」
高齢者が活躍しやすい環境を作り上げ、高いモチベーションで働ける状況を作っていくことで、「生涯現役」の状態を目指せます。
女性に関しても、フレックスタイムや時間単位の有給休暇の活用など、柔軟に休める形にして職場復帰をしやすくし、子育てとの両立をしやすくさせる環境を作ることも必要です。
ソフト面の強化を行い、ブランディングでアピールをしていくのが理想的と言えます。
生産性を高めて利益を増やしていく
何より重要なのは、生産性を高めて利益を増やしていくことです。
生産性を高めるには人材育成や技術の活用など、未来への投資を積極的に行うことが欠かせません。
利益が増えれば給与に回しやすく、福利厚生もより柔軟にでき、魅力のある企業になりやすいでしょう。
利益が増えれば先行きの不透明感もなくなります。
現状の問題点をあぶりだしていき、徹底的に潰して、未来に向けて動いていくことが、結果として採用難の解消につながるでしょう。
まとめ
製造業の多くの企業は、採用難を憂うだけで、具体的な対策をとっていないケースが目立ちます。
単に給与を上げるだけでは解消できない部分も多く、将来的にどのような状態を目指したいのかを明確にすることが今後求められます。
今後に向けて夢を語っていくにしても、どんな夢を経営者が持ち、どれだけの従業員と共有でき、賛同してもらえるかも大事な要素となるでしょう。
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