おしらせ&コラム
2024.10.16
工場での人手不足が倒産につながる理由!原因と対応策を解説!
倒産=経営不振、赤字などを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、実は人手不足が倒産につながるケースもあります。
特に工場では、人手不足をきっかけに倒産につながったケースがあるのです。
本記事では、以下の内容をまとめました。
・工場での人手不足が倒産につながる現状
・工場での人手不足が倒産につながる理由
・工場での人手不足が倒産理由にならないための対応策
ぜひ最後までご覧ください。
工場での人手不足が倒産につながる現状
近年、工場・製造業において人手不足が原因で起こる、「人手不足倒産」が増えています。
本項目では人手不足倒産に関する現状を解説します。
人手不足関連倒産は過去最多
東京商工リサーチの調査によると、2023年度の人手不足関連倒産は191件となり、2022年度と比較すると倍以上に増えています。
産業別に見ると、最も多いのがサービス業で、191件のうち60件を占めました。
製造業は18件で、全体の1割ほどを占めていますが、2021年度はわずか1件しかなく、ここ2年で急増した形です。
一方、貨物を担う運送業が32件倒産しており、製造業にも無関係とは言えません。参照:株式会社東京商工リサーチ「2023年度「人手不足」関連倒産 過去最多の191件 「人件費高騰」が3.8倍、「求人難」が2.6倍に増加」
2024年も上半期だけで182件
帝国データバンクが行った調査では、2024年上半期の人手不足倒産は182件と、こちらも過去最多を更新するペースです。
2024年問題の影響で、建設業と物流業で人手不足倒産が起こっています。
帝国データバンクでは2023年の人手不足倒産を260件としており、仮に2024年上半期の勢いが下半期も続けば、昨年と比べて100社も上回る状況となります。参照:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)」
物流業の人手不足倒産が目立つことは、物流業と関係の深い製造業にも影響が出る可能性があるでしょう。
工場での人手不足が倒産につながる理由
工場での人手不足が倒産理由となるケースには、以下の理由が挙げられます。
- 求人難の影響
- 人件費が高騰している
- 従業員の退職
本項目では、上記の内容について解説します。
求人難の影響
東京商工リサーチの調査において、人手不足関連倒産の理由で最も多かったのが求人難でした。
いくら求人を出しても、なかなか求人への応募がないことが背景にあります。
一方、求人難が中小企業において経営上の問題になるケースは、歴史的に見ると好景気で起こりやすいと言われていました。参照:中小企業庁「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」
しかし、時代は変化し、売り上げや景気に関係なく生じる問題となりつつあります。
求人への応募がない理由には、知名度や待遇面、仕事内容の不透明感などが挙げられます。
人件費が高騰している
人手不足倒産の要因には、人件費の高騰が挙げられます。
人手不足によってどのような影響が生じたかの調査では、売上機会を失った影響の次に、残業代などのコストが増加して利益が減ったことが挙げられています。参照:日本政策金融公庫「調査月報」
特に製造業において、残業代などのコスト増が利益減少につながる影響を重く見るケースが目立ちます。
求人難による人手不足を、残業でカバーすることで残業代の支払いが利益を減らすのです。
また、納期を長期化せざるを得ない影響もあり、生産性が落ちている状態とも言えます。
求人難に対応するため、待遇面をいいものにしようとし、人件費が高騰する可能性もあります。
これらの要因で人件費が高騰し、企業経営に影響を及ぼすことが考えられます。
従業員の退職
従業員の退職も工場での人手不足に拍車をかけていると言えるでしょう。
多くの工場では60歳が定年、その後給料を減らす形で65歳までの再雇用を行うケースが一般的です。
しかし、今までと同じ作業をしながら給料が減らされる高齢者の立場からすると、やる気が落ちる人がいても不思議ではありません。
また65歳になってもしっかりと働けるのに、定年を理由に退職をせざるを得ないケースもあります。
新たな人材が入ってくれば何の問題もないですが、求人難で入ってこない以上、年々人手不足になるのは避けられません。
工場での人手不足、それに伴う倒産は構造的な問題とも言えます。
工場での人手不足が倒産理由にならないための対応策
工場での人手不足が倒産の理由にならないようにするためには、いくつかの対応が可能です。
- 長時間労働の是正
- 高齢者の活用
- 労働生産性の向上
ここからは上記の対応策について解説します。
長時間労働の是正
中小企業が人材確保に向けた施策として、良く行われているのが長時間労働の是正です。
工場で長時間労働の是正を行うには、生産性の向上が急務であり、DXの推進などを行って、業務効率化を目指す必要があるのです。
厚生労働省では、働き方改革推進支援助成金を用意しており、生産性向上と残業削減などに向けた環境整備を行う中小企業に、助成金を出しています。
対象となるものには、人材確保の取り組みや労務管理用機器の導入、労働能率を高める設備の導入などがあります。
人手不足倒産を避けるため、こうした助成金を活用し、長時間労働の是正を目指すことが必要です。
高齢者の活用
工場での人手不足を避けるには、高齢者の活用が欠かせません。
高齢の労働者に配慮して職場を改善する事例は多く、トラックへの積込での事故を防ぐための事例などが紹介されています。参照:厚生労働省「高年齢労働者に配慮した職場改善事例( 製 造 業 )」
高齢者が工場で働くには、高齢者への配慮が必要不可欠であり、何らかの対処が求められます。
こうした配慮は設備の強化に限らず、夜勤作業の休憩時間の見直しなどの面でも行えることです。
高齢の労働者が働きやすい環境を作り出し、65歳以降も働いてもらうことで、一定の時間稼ぎを行いつつ、人材確保の施策を検討することもできます。
労働生産性の向上
日本は少子高齢化が進んでおり、慢性的な人手不足の状態は避けようがありません。
外国人労働者の受け入れも1つの手ですが、人材確保の対策で外国人労働者の雇用を目指す動きはそこまで活発とは言えないのが実情です。参照:日本政策金融公庫「調査月報」
そこでポイントとなるのが労働生産性の向上です。
生産性はDX導入などで業務効率化を推進する必要があり、結果としてコストの削減などにつながります。
また、人手の確保をしなくても生産性を維持でき、残業をさせなくても現状を保てれば、利益を目減りさせなくて済みます。
それでいて製品の品質を維持できれば、高品質の製品を安定供給でき、業績の安定にもつながるでしょう。
国ではさまざまな助成金・補助金を用意しており、生産性向上に向けた施策を多数用意しています。
人手不足の状況は企業にとって厳しいですが、企業体質を変化させるチャンスでもあると言えるでしょう。
まとめ
工場での人手不足が倒産につながるケースは今後も増えることが予想されます。
ただ単に給料を上げるだけでは、人件費高騰がさらに首を絞める展開になりかねません。
いかにコストをかけずに生産性を高められるのかが大事であり、DXの活用は避けられません。
あとは、いかにDXの活用が行えるかという企業努力にかかっています。
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