おしらせ&コラム
2024.10.23
トラックドライバー不足はなぜ起きる?原因や影響、解決策を解説
近年トラックドライバーが不足しており、輸送力に影響が出るのではないかと言われています。
本記事では、以下の内容をまとめました。
・トラックドライバー不足の現状と原因
・トラックドライバー不足が与える影響
・トラックドライバー不足の解決策
ぜひ最後までご覧ください。
トラックドライバー不足の現状と原因
トラックドライバーが不足しているのはなぜなのか、主に3つの原因があります。
- 高齢化社会によるドライバー減少
- 若い世代のトラックドライバー離れ
- 労働環境・待遇面の問題
上記の内容についてそれぞれ解説します。
高齢化社会によるドライバー減少
日本では高齢化が進行しており、令和5年10月の時点で高齢化率は29.1%と30%の大台まで目前に迫っています。参照:内閣府「第1節 高齢化の状況 1高齢化の現状と将来像」
同様にトラックドライバーの年齢層も上昇傾向にあり、大型トラックドライバーの平均年齢が47.5歳と全産業の平均年齢と比べて5歳ほど上回っている状況です。参照:国土交通省「トラック運送業の現況について」
また道路貨物運送業の年齢構成を見ても40代と50代で全体の半数を超えているのが実情です。
一方で、若い世代がなかなかドライバーにならず、20代以下のドライバーは全体の10%程度となっています。
かといって、長続きしやすい職業ではないのもトラックドライバーであり、60歳以降も働く人は全産業の平均よりも低いのです。
今の40代・50代が高齢者の年代に入るまでに手を打たないと大変です。
若い世代のトラックドライバー離れ
現在の若い世代があえてトラックドライバーになるケースは多くありません。
20代以下の若者は全体の10%程度と少なく、全産業で見ても低い数字です。
そもそも若者は免許すら持たず、20歳での運転免許保有率は56.2%と減少傾向にあります。参照:ソニー損保「2024年 20歳のカーライフ意識調査」
免許を持つ若者が減れば、その分、トラックドライバーを目指す若者も減ってしまうのです。
加えて若者が持つトラックドライバーに対するイメージとして、長時間労働で給料が安いというイメージがあります。
このイメージを払拭しない限りは若者が増える可能性は低いと言えるでしょう。
労働環境・待遇面の問題
2024年問題では時間外労働の上限規制が設けられたように、トラックドライバーの長時間労働が問題となっています。
単に長時間運転をし続けるだけでなく、荷役作業や待機時間なども長時間労働につながっています。
荷待ち時間を少なくする動きはあるものの、商慣行を前提とした動きが目立ち、商慣行を変える必要があるという見方も出てきました。参照:国土交通省「トラック物流2024年問題に関するオンライン説明会資料」
いかに労働環境・待遇面の改善を行えるかが焦点となります。
トラックドライバー不足が与える影響
トラックドライバーが不足することで、経済的な影響が少なくありません。
本項目では、トラックドライバーが不足することで生じる影響をまとめました。
物流関連のコストが増える
トラックドライバーが不足することで、トラックドライバーを確保するのも大変になります。
給料を上げる形で若者を集めたとしても、その分、人件費は上がり、運送にかかるコストが上がるでしょう。
加えて燃料代の高騰を始め、運送コストは上昇傾向にあります。
運賃を上げることで対応しなければならないものの、運賃が適正に上げられないと経営を悪化させてしまいます。
コストが増えていかに価格に転嫁させられるかも大事な要素です。
商品価格の上昇につながる
運送にかかるコストが増えれば、小売店からすれば仕入れコストが上がるため、商品価格で調整するしかありません。
商品価格に転嫁した場合、生活必需品を含めて価格上昇の段階に入っていきます。
物価高につながりやすく、経済の勢いが衰える可能性もあるのです。
一方で、価格に転嫁できないと、小売店の利益に悪影響を及ぼすため、誰かしらが痛みを感じることになります。
物価高に伴う経済的な悪影響などにもつながる恐れがあるでしょう。
地方経済への問題
トラックドライバー不足によって、地方経済にも影響を与えます。
地方都市の場合はトラックによる輸送が一般的であり、仮にトラックドライバー不足の影響が強まれば、地方都市への商品供給が遅れやすくなります。
すると、地方に住む不便さが増し、より都会へと逃げていく人が出てくるでしょう。
また地方から都市部への物流も人手不足で停滞しやすく、地方の勢いが落ちる可能性があります。
トラックドライバー不足の解決策
トラックドライバー不足の現状をいかに打開するか、その解決策がいくつも存在しています。
トラックドライバー不足の解決策をまとめました。
商慣行の見直し
国土交通省では物流の革新を考えるにあたり、商慣行の見直しを第一に挙げています。
具体的には荷待ち時間や荷役時間の削減や納品期限、多重下請け構造の是正などが該当します。
今までやってきたことをベースにして対策を考えても抜本的な改革には至らないという考えがあるのです。
運送業界の体質が変わらない限りは、トラックドライバーを囲む環境が変化しにくいことが考えられます。
同時に商慣行の見直しを徹底して行えば、トラックドライバーの待遇が大きく変わる可能性もあるのです。
女性や外国人労働者の積極的な採用
トラックドライバーに関しては女性の割合が著しく低く、トラガールを始めとした女性ドライバーを増やす施策が採られています。
女性トラックドライバーが少ない背景には、女性ドライバーが安心して働ける環境が整っていないことが大きく、トイレ・生理の問題も指摘されています。
これらの問題を少しでも解決し、女性が働きやすい環境を作り出せれば女性がトラックドライバーになる可能性を高められるのです。
また令和6年度からは在留資格「特定技能」に自動車運送業が新設され、外国人労働者からドライバーを確保する動きが強まっている段階です。
トラックドライバーのイメージを高める
現状ではトラックドライバーに対するイメージがあまりいいとは言えない状況です。
しかし、社会に貢献する重要な仕事であり、しっかりと働ければそれなりに稼げる仕事でもあります。
労働条件の改善だけでなく、安全面への取り組みやPR、トラックドライバーという仕事の面白さを伝えていく努力などが求められます。
他にも法令遵守を徹底する動きなど、業界のイメージを高めていくことが必要です。
全日本トラック協会では、「優良トラックドライバー確保・育成のために」というリーフレットを作成するなど、トラックドライバーを確保するためのヒントを紹介しています。参照:全日本トラック協会「優良トラックドライバー確保・育成のために~事例から学ぶ、働きやすい環境づくりのヒント集~」
ただ給料を上げればいいのではなく、継続して働きやすい環境を整備することが求められます。
まとめ
トラックドライバーは慢性的な人手不足の状態にあり、長らく問題視されても一向に改善しません。
この間、商慣行の見直しが抜本的に行われたとは言えず、業界全体で体質改善を図らなければ根本的な解決は難しいという見方もできます。
少子高齢化が加速するからこそ、今のうちに手を打ち、優秀な人材を確保し続けられる環境を作り出しましょう。
Contact
お問い合わせ
ご相談・ご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちら
local_post_office お問い合わせ