おしらせ&コラム
2024.9.23
物流の2024年問題で荷主が行う対策!課題を含めて解説
令和に入り、物流業界では2024年問題が注目され、ほとんどの企業が対策に乗り出しています。
運送業者側の問題とされる一方、荷主側も対策を立てる必要があります。
本記事では、以下の内容についてまとめました。
- 物流の2024年問題で荷主が抱える課題
- 物流の2024年問題で荷主が背負う責任
- 物流の2024年問題で荷主が行う対策
ぜひ最後までご覧ください。
物流の2024年問題で荷主が抱える課題
物流の2024年問題は、トラック運転手の時間外労働の上限規制により、輸送力が低下することが問題視されています。
一見すると、2024年問題は荷主には関係がないように感じられますが、もちろん荷主にも大いに関係する問題です。
以下に、荷主が抱える課題をまとめました。
- 今まで通りの納品が難しくなる可能性
- 荷待ち・荷役作業の問題
- 物流コストの問題
- 集荷時間の問題
今まで通りの納品が難しくなる可能性
物流の2024年問題はトラックドライバーの労働時間に制限ができることで生じます。
要するに、労働時間の制限は、ドライバーの運転時間が制限されることを意味するのです。
制限されればそれだけ輸送距離は短くなってしまい、今まで通りの納品が難しくなる可能性が出てきます。
今まで行えていた長距離輸送ができなくなれば、サービスの質低下につながりやすく、荷主側にとって大打撃です。
物流の2024年問題は運送業だけでなく、荷主側にも大きく関係する重要な問題と言えます。
荷待ち・荷役作業の問題
トラックドライバーの時間外労働時間に上限が設けられたことで、これまでの作業をより効率化していくべきという動きにつながっています。
その中の1つに荷待ち・荷役作業があり、この点が荷主側が抱える課題の1つです。
厚生労働省では、「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」が開設されています。
その中の「物流情報局(荷主の皆さまへ)」の冒頭にある「荷主の皆さまにお取り組みいただきたいこと」を読むと、荷待ち・荷役時間の削減を求める文言が書かれています。
荷待ち・荷役時間は何の対策もしないと年間750時間を要することや、2024年には年間75時間、2030年には年間125時間の削減がそれぞれ必要であると紹介しているのです。参照:厚生労働省「物流情報局(荷主の皆さまへ)」
荷主側が荷待ち・荷役時間の削減をすることで、ドライバーの運転時間を確保でき、輸送力低下を防ぎやすくなります。
その認識を荷主側に強く持ってもらうための情報発信が行われています。
物流コストの問題
「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」では、「標準的運賃」についても触れられており、この点も荷主側にとって注目すべき点です。
標準的運賃は国土交通省が告示したもので、労働環境の改善を図る目的があります。
また、運賃や料金などの契約に関して、トラック運送事業者に対する配慮を求めるメッセージも出されています。参照:国土交通省「トラック輸送の新たな『標準的運賃』が告示されました」
物流コストが高まる可能性が大いにあり、運賃をどのように転嫁していくかがポイントになっていくでしょう。
後程ご紹介する荷主側が抱える責任にも直接つながっていく問題でもあります。
集荷時間の問題
運送業は物流の2024年問題に対応すべく、集荷時間を早めていくケースが増えてきます。
早めに集荷を行うことで、少しでも残業を減らす狙いがあるのです。
集荷時間が前倒しされることで、荷主側もそれまでに対応をしなければならなくなります。
つまり、今までのやり方で業務を進めていくと、支障が出やすくなることを意味します。
そのため、集荷時間の前倒しに対応する策を練らないといけません。
物流の2024年問題で荷主が背負う責任
物流の2024年問題は時間外労働に関することなので、ドライバーが時間外労働時間の上限をオーバーするような働き方になれば、当然運送業者に責任がかかります。
荷主側には関係がなさそうに見えますが、実は荷主側にも責任があります。
ここからは荷主側が背負う責任についてまとめました。
トラックGメンの存在
物流の2024年問題を解決するために、国土交通省が用意したのが「トラックGメン」です。
トラックGメンは、2024年問題の解決を大目標にし、労働環境の改善などを中心に活動する国土交通省の組織です。
荷待ち・荷役時間の短縮が叫ばれている中で、いまだに長時間の荷待ち時間を強いるといったことをする荷主側の業者に指導を行っていきます。
荷主側の振る舞いが原因でトラックドライバーの時間外労働時間が上限を上回るような場合には、改善の働きかけをトラックG面が行います。
その後、明らかに原因があれば、改善の要請に段階を上げ、それでもなお改善がなされない場合には勧告・公表を行うという流れです。参照:国土交通省「トラックGメンとは…」
改善に向けた計画などを指導していき、荷主側にも2024年問題の責任の一端を担わせるのがトラックGメン創設の目的です。
トラックGメンは全国に160人以上いるとされ、全国各地で聞き取り調査などを行っています。
今後はトラックGメンの機能が強化される方針となっており、より活発な活動が想定されます。参照:NHK「トラックGメンに密着! 物流の担い手を守れ」
物流の2024年問題で荷主が行う対策
物流の2024年問題において、荷主が行える対策はいくつか存在します。
最後に2024年問題を解決するための対策をまとめました。
中継輸送で長距離輸送を解決する
長距離輸送をいかに行うかが、荷主側にとっては重要です。
そこでポイントとなるのが中継輸送です。
中継輸送は特定の位置を中継地点として、他のドライバーに交代を行い、輸送を行っていくという方法という手法になります。
2人のドライバーが携わるため、人件費などは基本的にかかってしまいます。
しかし、確実に長距離輸送が行えるほか、各ドライバーの休息期間を考慮しなくて済むため、今まで通りの輸送が行えるのが大きなメリットです。
中継地点をどこにするかなど、輸送の仕組みを構築するのは大変ですが、完成させれば、2024年問題を克服することは大いに可能と言えます。
予約受付システムの活用
荷受け・荷役時間の短縮が2024年問題を解決するために必要なことであることは、物流業界の共通見解です。
この荷受け時間の短縮をするのに、必要となるのが予約受付システムの導入です。
予約受付システムは、どのタイミングで商品が届くのかを始め、荷受け・荷役に関係する作業の把握につながる準備に大きく関係します。
事前に分かっていれば、その時間に合わせて行動を行えるため、荷主側にとって作業のしやすさにつながります。
そして、ドライバー側もわざわざ待たずに済み、荷待ち時間を最大限圧縮することが可能です。
予約受付システムを導入するにはシステムの構築などが必要ですが、構築してしまえば、荷受け時間の短縮を行うスタンスを示せるため、1日でも早い導入が求められます。
まとめ
物流の2024年問題はすぐにでも解決すべきものであり、物流がうまくいかないことで日本の経済発展を妨げる展開だけは避けなければなりません。
2024年問題は、トラック運転手・運送業者だけの問題ではなく、荷主側にも十分な責任があります。
その事実をしっかりと認識した上で対策を立てていくことが必要なのです。
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