おしらせ&コラム
2024.9.16
工場の人手不足はなぜ起きる?現状や理由・対策を解説
「人手不足で忙しい」、「従業員を休ませたいけど休ませられない」など、工場の人手不足に頭を悩ませる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、以下の点をご紹介します。
・工場における人手不足の現状
・工場で人手不足となる理由
・工場での人手不足を防ぐ対策
ぜひ最後までご覧ください。
工場における人手不足の現状
まず工場において、どの程度人手不足が慢性的になっているのかに関して気になる方も多いのではないでしょうか。
工場の人手不足における現状を以下にまとめました。
・工場で働く若い人が増えない
・非製造業と比べて高齢者の割合が低い
・外国人労働者の依存度が増している
ここからは、上記の内容について解説します。
工場で働く若い人が増えない
34歳以下の若年就業者は、ここ10年横ばいの状況が続き、2023年は259万人が働いています。
労働者全体に占める34歳以下の割合を見ると、製造業と非製造業ではほぼ同じ数値となっており、製造業が他の産業と比べて敬遠されているとは言えない状況です。
以前は他の産業と比べ、若干割合が低かったものの、2012年あたりに追いつき、ほぼ同じ数値となっています。参照:経済産業省「2024年版ものづくり白書」
しかし、少子化などの影響もあり、現状から増える可能性は考えにくく、若者の労働力をアテにするのは難しい情勢です。
非製造業と比べて高齢者の割合が低い
65歳以上になっても働く高齢就業者は2018年をピークに減少に転じ、2023年は88万人が働いています。
一方で労働者全体に占める65歳以上の割合を産業別で見ると、製造業は8.3%に対し、非製造業は14.5%と大きく開いている状況です。
製造業以外では65歳以上の割合が高まっている中で、製造業は減少しています。
若者が増えない中、高齢就業者にその穴埋めを託すのは難しいことが言えます。
外国人労働者の依存度が増している
工場の人手不足を解消するため、外国人労働者を活用する工場が増えています。
製造業において、雇用者数に占める外国人労働者の割合を見ると、2008年は1.8%だったものが、2023年には5.4%でした。
つまり、製造業で働く20人に1人が外国人労働者なのです。
若い人が働く割合は緩やかに落ちている中、その穴埋めとして外国人労働者が活用されている状況と言えます。
工場で人手不足となる理由
工場で人手不足となっている原因・理由にはいくつかのことが考えられます。
・全体の労働力人口が増えても活かし切れない
・工場に対するイメージが良くない
・肉体労働になりやすい
本項目では、上記の内容について詳しく解説します。
全体の労働力人口が増えても活かし切れない
労働力人口は、高齢者を含め、15歳以上の就業者と失業者の合計で示したもので、ここ20年で横ばいをキープしています。
この労働力人口が増えているのは女性と高齢者の労働参加がここ20年で増えたからです。
しかし、製造業では女性の就業者が減少し、女性が占める割合は3割程度と、全産業での割合と比べると大きく下回っています。
製造業で働く高齢者の比率も高くなく、女性の割合も低いとなると、全体の労働力人口が増えても活かし切れない状況にあると言えます。
裏を返せば、女性就業者を増やすことや高齢者でも働きやすい環境にすることが人手不足解消のカギになると考えることも可能です。
工場に対するイメージが良くない
若者や女性などが工場で働くことを避ける背景には、工場に対するイメージが良くないことが挙げられます。
あるアンケートにて、製造業に対するイメージについて尋ねると、「体力が必要」というイメージを持つ人が最も多く、「休みが取りにくい」、「残業が多い」とネガティブな答えが上位を占めました。
参照:マイナビ「【気になる働き方を大調査】実際どうなの!? 製造業で働く人たちに、リアルな働き方を聞いてみた」
若い世代は休みや残業などに敏感であり、工場勤務=残業が多いというイメージがある中だと敬遠されやすくなります。
いかにそのイメージを変えられるかが重要となるでしょう。
肉体労働になりやすい
工場で働くには体力が必要というイメージが根強くあるように、扱うものによって肉体労働になるケースがあります。
また、ライン作業のように常に立ちっぱなしの中で行う仕事だと、腰を痛めるなどの問題が生じることもあるでしょう。
他にも早番遅番の交代制でリズムをつかみにくいなど、体力的にきつくなる部分もあります。
肉体労働の要素をいかに軽減できるかも、工場での人手不足を改善していくポイントになるでしょう。
工場での人手不足を防ぐ対策
人手不足の改善を目指すには、さまざまな対策が必要となります。
以下に主な対策をまとめました。
・外国人を多く活用する
・女性や高齢の労働者を増やす対策を行う
・デジタル化を図っていく
本項目では、工場での人手不足を防ぐ対策について解説します。
外国人を多く活用する
技能実習生や特定技能の在留資格で働く外国人などを活用して、人手不足を防ぐのも1つの方法です。
近年は日本で働く外国人労働者が急増しており、技能実習生として来日した外国人が特定技能に切り替えて働くケースもあります。
製造業における外国人労働者の割合は2023年度に初めて5%を突破し、今後も割合が増えることが予想されます。
日本人労働者の中で人手不足の改善を図るのが難しいと判断すれば、技能実習制度や特定技能の活用を目指していくのが確実と言えるでしょう。
女性や高齢の労働者を増やす対策を行う
女性や高齢者の労働参加が年々増えていることから、女性や高齢者の労働者を増やす対策を行うことが大切です。
工場にはさまざまな部門があり、体力をさほど必要としない部門であれば、参加しやすいと言えます。
例えば、肉体労働などの作業負担を軽減させるような職場改善が挙げられます。
重量物の扱いを減らすことや、段差をできる限り減らして高齢者の転倒を防ぐ対策を行い、女性や高齢者が働きやすい環境を目指すことが必要です。
また子育てを行う女性に関しては、育児との両立がしやすい環境を整えるなど、ワークライフバランスがとりやすいことをアピールしていくことも大切です。
女性や高齢者が働きやすい工場というイメージができれば、プラスのイメージを与えやすくなり、工場勤務にネガティブなイメージを持つ人たちの印象を変えやすくなります。
デジタル化を図っていく
デジタル化を図ることで人手が多少足りなくても生産性のアップにつなげられます。
デジタル化を推し進めて効率化を図れば、1人1人の負担が減り、人的ミスの減少などにもつながるでしょう。
中小企業のように経営的に厳しい企業ではデジタル化を推し進めることは大変ですが、いきなりすべてを変える必要はありません。
例えば、一部分だけを先行的にデジタル化し、徐々に増やしていくことでも大丈夫です。
従業員の負担を減らしつつ生産性を高められれば、魅力ある職場としてアピールしやすくなります。
まとめ
工場の人手不足は、体力的な問題や工場に対するイメージが大きく、いかにこれらを改善させていけるかが大きなポイントとなるでしょう。
また、外国人労働者の活用や女性・高齢者の労働参加、デジタル化の推進を行うことでも、慢性的な人手不足の改善を図れます。
いきなり変えることは難しくても、まずは変えられるところから少しずつ変えていき、現場と折り合いをつけながら改善を図っていくことをおすすめします。
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