おしらせ&コラム
2024.9.12
物流業界の人手不足の原因は?現状や解決策を解説
通販サイトやフリマアプリの発展に伴い、物流量が年々増す一方、ドライバーの人手不足などが問題になっています。
今回は、以下の内容をまとめました。
・物流業界における人手不足の現状
・物流業界における人手不足の原因
・物流業界で人手不足を解消する解決策
ぜひ最後までご覧ください。
物流業界における人手不足の現状
物流業界では人手不足が叫ばれていますが、どれほどの人手不足なのか、まずはその現状について解説します。
6割以上の企業が人手不足の状況に
2021年に、物流・倉庫部門の事業所を対象にした調査では、6割以上の企業が人手不足の状況にあることが明らかとなっています。
人手不足の理由として、「退職による欠員」や「離職率が高い」などの回答が目立っており、人材を確保してもすぐに辞めてしまう実態が見られます。
また、従業員規模が5,000人以上の企業で人手不足の影響が大きいこともわかりました。
人手不足で悩んでいるのは中小企業だけではないことがわかります。
参照:富士電機株式会社「物流・倉庫部門における人手不足の実態調査」
帝国データバンクの調査でも同様の結果に
帝国データバンクで行われた、人手不足に関する調査でも、物流業において人手不足と感じている企業は全体の7割ほどに及んでいます。
前年と比べて従業員が増えたケースはわずか2割で、従業員が減ったケースは3割と人手不足の状況はより悪化していることが言えるのです。参照:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 10 月)」
複数の調査から同様の結果が出ていることを見ても、物流業が慢性的な人手不足であることは揺るがない事実と言えます。
物流業界における人手不足の原因
物流業界での慢性的な人手不足は、離職率の高さなどの理由が考えられます。
なぜ離職率が高く、人材の定着が難しいのか、その原因を探ります。
体力的・精神的にきつい
トラックドライバーなどは他の産業と比べても労働時間が長く、およそ数百時間多めに働いているデータが出ています。参照:国土交通省「我が国の物流の革新に向けた取組みの動向」
しかも、常に安全運転を図りつつ、早く運送を行うストレスがかかっている点は精神的なきつさにつながる要素です。
長時間労働が嫌われる時代の中で、他の産業より数百時間長く働くのはきつく、ストレスもかかりやすいとなると、敬遠されるのは致し方ないと言えます。
労働時間が長いのに収入は少ない
トラックドライバーなどは労働時間が数百時間も長い一方、収入は他の産業より低く、1割程度下回っている結果が出ています。参照:国土交通省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
人より多く働いて人より給料が少ないとなれば、働く意欲が減るのは当然です。
以前と比べて年間所得額の差は縮まってはいるものの、追いつくにはまだまだ時間がかかると言えます。
物価高とはいえ、なかなか運賃アップまではいかないなど、収入が上がらない構造が見え隠れしています。
非効率的なシステム
トラックドライバーにとって最も無駄な時間なのが、荷待ちの時間です。
1回の運行で生じる荷待ち時間は平均で1時間半ほどで、およそ半数のケースで1時間以上の荷待ちを経験します。
荷待ちをした後に荷役作業があるため、荷待ち時間と荷役作業を合わせると、3時間近くに及びます。参照:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」
荷待ち時間が生じるのは、物流施設における処理能力の低さや予約時間のバッティングなどが挙げられ、非効率的なシステムが問題になっています。
2024年問題の解決に向けて荷待ち時間・荷役作業をいかに効率よく行えるかがポイントとなるのです。
物流業界で人手不足を解消する解決策
物流業界における人手不足はさまざまな施策を採り入れることで解決を目指せます。
最後に、人手不足を解消する解決策についてまとめました。
全体的な待遇の改善
物流業界では長時間労働、年収の低さ、休みの少なさなどさまざまな要因が絡み合い、人手不足につながっています。
そのため、長時間労働や年収、休みなど待遇面の改善を図ることで業界の魅力を高めることにつなげられます。
待遇改善を図るには、適正な運賃の適用や女性・高齢者・外国人の幅広い活用を図っていき、売り上げを高めつつ人材を確保することが重要です。
働くモチベーションは給料と連動しやすいほか、やりがい・感謝なども要因として挙げられます。参照:TUNAG(ツナグ)「ノンデスクワーカーの働き方実態調査2024 」
収入が少なく、休みもとれない中、気合と根性、体力だけで乗り切らせるには限界があり、何かしらの対応をしないと早々に見切りをつけられてしまいます。
全体的な待遇の改善なしに人手不足の解決はあり得ないと言えるでしょう。
最先端技術やシステムの活用
物流施設において、最先端技術やシステムを活用することで、荷待ち時間をできる限り少なくすることが可能です。
近年注目されているのが物流ロボットです。
物流ロボットは、ピッキングや仕分けなど人間が手分けして行ってきた作業をロボットが一手に担います。
すべてをロボットに任せるのではなく、ロボットにできることはロボットに、人がやった方が効率的なものは人がやるという分担が欠かせません。
三菱重工業では、物流倉庫の自動化を行っており、フォークリフトも無人で操作し、荷待ち時間を減らし、荷役作業まで行えます。参照:日経ビジネス「三菱重工、ロボット使って倉庫での荷待ち時間ゼロ目指す」
荷待ち時間が減れば、長時間労働の改善や効率化に伴う売り上げアップなど、色々なメリットに期待が持てます。
これらの最新技術の活用を行える企業は積極的に行うことが求められるでしょう。
多様性のある物流を目指す
物流業界では正社員の数が足りていないという傾向にありますが、正社員を確保するのではなく、派遣サービスなどの活用を目指すのも1つの手です。
近年ではドライバーに特化した派遣サービスを展開する企業が登場し、コストを抑えつつ人員確保を目指せるようになっています。
また物流のクラウドソーシングを行い、外部に委託できるものは委託していくことで、人員不足に対応することも可能です。
一方、日本より先んじて物流量の多さによる人手不足の状況を迎えていた中国の場合、運送業者ではなく個人が配達を担当することで対応したケースもあります。
参照:NEC「人手不足が深刻化する中国宅配便業界中国版クラウドソーシングで「人のシェア」へ」
業務の請負を始め、最近はアプリ1つですぐに働ける時代となり、正社員として人材を確保する必要性があるとは言えません。
特に待遇改善による人員確保が難しく、システムの構築などにかけるコストも切り詰めたい場合には、お金を掛けずいかに人員を確保していくかを考えることも大事です。
まとめ
物流業界における人手不足は今に始まったことではなく、構造的に人手不足を誘発するような状況にあります。
一方で、適切な対応をしていけば、改善を図ることができるだけでなく、前もって対策を立てられれば業績アップにつながりやすくなるでしょう。
それぞれの企業の経営体力や経営規模、会社としての方針などがさまざまある中で、自社に合った方針を見出して人手不足の対策にあたっていくことが求められます。
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