おしらせ&コラム
2024.7.15
製造業における人件費とは?人件費率や改善のための取り組みも紹介!
「製造業における人件費って、何を指すの?」
「売上の何%くらいがいいんだろう?」
そのような疑問をお持ちではありませんか?
製造業の人件費は企業経営において大切な要素であり、しっかり理解を深めておくことが必要になります。
この記事では、
・製造業における人件費の概要
・人件費の重要性と影響
・売上に対する人件費の適切な割合
・人件費率改善のための取り組み
を紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
人件費とは?
人件費とは、企業が社員に支払う給与や福利厚生費用など、直接的な人的資源に対して支出される費用です。
製造業において人件費は、業績に直結する重要な費用であり、労働力が生産活動に直接関与するため、適切な管理が求められます。
人件費の詳細
①給与・各種手当
社員(パート・アルバイト含む)に毎月支払われる、給与や各種手当が該当します。
給与・各種手当には、基本給や歩合給、残業手当、役職手当、通勤手当、扶養家族手当などが含まれます。
②賞与
毎月の給与とは別で、臨時に支払われる給与を賞与といい、ボーナス、一時金などの名称で呼ばれます。
③福利厚生費
健康診断や社員旅行費といった、全社員を対象とした福利厚生のための費用を指します。
社員の士気を上げ、心身共に健康で働いてもらうために必要です。
④退職金
社員が退職する際に支払われます。
退職一時金と企業年金制度によって支払われる退職年金があり、どちらも人件費として企業が負担します。
⑤労働者の保護措置にかかる費用
労働安全衛生、労働災害補償、労働保険など、社員が安全に働くことのできる仕組みづくりに使われる費用も人件費に含まれます。
労務費との違い
労務費は「製造部門」の社員にかかる費用を指し、人件費の一部です。
労務費が製造にかかる費用として、原価計算されて製品原価に含まれるのに対し、人件費は製造部門を含んだ全体の社員にかかる費用を示しています。
人件費の重要性と影響
製造業における人件費は企業にとって重要な要素です。
以下に人件費の重要性とその影響について述べていきます。
生産性と品質への影響
社員のスキルやモチベーションは、生産性や製品の品質に直接影響します。
適正な報酬と福利厚生を提供することで、社員の満足度と生産性が向上し、品質管理における問題を減らすことができます。
逆に、不十分な報酬や労働条件は生産性の低下や品質問題を引き起こす恐れがあります。
コスト管理と競争力
効果的な人件費管理を行うことで、競争力を維持し市場での地位を強化できます。
また、適正な給与水準と労働条件の提供は、優秀な人材の獲得と定着につながります。
コストを効率的に管理することで、価格競争力を維持し、利益率の向上を図れるでしょう。
リスク管理と法的要件
労働法や労働基準法などの法的要件を満たすためにも、適正な人件費の計画と管理が必要です。
法的リスクを回避し、従業員との関係を円滑に保つためには、適切な給与支払いと福利厚生の提供が不可欠です。
違法な労働条件や不当な給与は、企業にとって法的および経営上の深刻なリスクとなり得ます。
経営戦略との統合
人件費は単なる費用ではなく、経営戦略と密接に関連しています。
人材の育成と定着、労働市場の動向分析、そして競争力の維持と強化のための戦略策定において、人件費の役割は重要です。
これらの要素は企業が持続可能な成長と競争力を確保するために不可欠で、企業には適切な人件費管理が求められることが分かります。
人件費は売上の何%であるべきか
企業の人件費の適正な割合は、業種や企業の戦略によって異なりますが、一般的な目安としては、売上高に対する人件費の割合が重要です。
人件費率とは
人件費率は、企業の売上高に対する人件費の割合を示す指標です。
主な人件費率としては、以下の2つが挙げられます。
・売上高人件費率:企業の売上高に対する人件費の割合を指します。
売上高人件費率(%)=(人件費総額÷売上高)×100
・売上総利益人件費率:企業の売上総利益に対する人件費の割合を示します。
売上総利益人件費率(%)=(人件費総額÷売上総利益)×100
業種別の人件費率
中小企業庁による、令和4年中小企業実態基本調査に基づいた業種別の人件費の平均は以下の通りです。
・製造業:20.8%
・飲食サービス業(宿泊業含む):38.0%
・情報通信業:31.6%
・小売業:13.0%
・卸売業:6.8% 1)
1)中小企業実態調査 令和4年確報(令和3年度決算実績)より
業種によって、人件費率は異なります。
ぜひ、あなたの企業の人件費率も算出してみてくださいね。
製造業における人件費率を改善するための取り組み7選
もし人件費率が高く、人件費が支出全体を圧迫しているという場合は、人件費率を改善するための取り組みを講じる必要があるでしょう。
ここでは人件費率を改善するための、具体的な施策を紹介します。
①効率化と自動化の推進
まず、生産プロセスを見直すことが大切です。
自動化やロボット化によって、人間の介入を最小限に押さえられます。
例えば、組立や検査などのルーチンワークを自動化することで、労働力コストを削減できます。
また、重労働や危険な作業もロボットや自動化システムに置き換えることで、労働力の安全性を高めつつ、生産性を向上させられます。
②生産性向上のためのトレーニングと教育
社員のスキルアップを図ることで、人件費に対する効果が大きくなります。
定期的なトレーニングや研修を通じて、モチベーションと能力を維持することが大切です。
人材を最大限に活用できるような教育プログラムを策定すると良いでしょう。
③人材の適材配置
作業の特性や需要に応じて、適切な社員の配置をおこなったり勤務体制を確立したりし、無駄な労働を減らすと、費用対効果が大きくなることが期待されます。
そのためにも、社員の特性や能力をしっかり見極める必要があります。
④戦略的な人材管理
成果に応じた報酬や昇進の機会を提供することで、社員のモチベーションを向上させます。
また、明確なパフォーマンス評価制度を導入し、成長とフィードバックの文化を育成するとよいでしょう。
⑤労働時間の最適化
労働時間の柔軟な管理を通じて残業を減らし、社員のワークライフバランスを改善するなどして、シフト制度を見直すとよいでしょう。
特に日勤と夜勤の切り替えがつづいてしまうと、ストレスや疲れにもつながり、仕事のパフォーマンスも落ちかねません。
休みをしっかり取って、能力を最大限に活かせるようなシフト作成が望まれます。
また、効率的な生産スケジュールを策定すると、生産性が最大化し無駄な労働を削減できます。
⑥コスト意識の浸透
社員全体にコスト削減の重要性を認識させることで、無駄な支出を減らして、経営効率を向上させられます。
経営陣だけでなく、企業全体で無駄を減らす努力を進めていきましょう。
⑦労働環境の改善
生産性や社員の満足度を向上させるための、労働環境の改善をおこなうことにより、社員の定着率を高め、人件費率を安定させることができます。
製造業に持たれがちな3Kのイメージ(キツい、汚い、危険)のイメージを払拭するためにも、社員が働きやすい環境づくりを講じていかなければならないでしょう。
まとめ
製造業において、人件費は生産に直結する非常に重要な要素です。
人件費率が高いと、今後の企業の活動にも影響するので、それぞれの企業で改善していくための取り組みが必要になります。
まずは、あなたの企業の人件費率を算出することから始めてみてはいかがでしょうか。
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